- 著者
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角田 英
- 出版者
- 京都府立医科大学
- 雑誌
- 京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.4, pp.2066-2072, 1932
1)比色的血糖測定法ニ於テ使用セラルル試藥トシテハ現在ぴくりん酸ニ如クモノ無シ.2)從來ノぴくりん酸ヲ試藥トセル所ノ比色的血糖量測定法例之るゐすべねぢくと氏法又ハまいやーす,ばいれい氏法等ニ於テハ2立方糎乃至5立方糎ノ如キ可成リ多量ノ血液ヲ必要トセルモ,余ハヨリ小量ノ血液即チ2立方糎以下血液ヲ以テシテモ尚完全ニ其ノ目的ヲ達シ得ル事ヲ知レリ.3)余ハ今回血液ノ蛋白質ヲ除去スルニハ純酒精ヲ使用スルヲ最便利且適當ナル事ヲ知レリ.4)從來ノ諸法ニ於テハ呈色反應ヲビ重盪煎ヲ以テ完結セシムル方法ヲ採用セルモ,余ハ最小ノ瓦斯火焔ヲ以テ之ニ代ヘムカ,ヨリ迅速ニシテ,而モ何等ノ支障ヲ來サザル事ヲ主唱ス.5)ばんぐ,はーげどるん,ふおーりん,うー,えぷすたいん,等ノ諸法ハ其ノ測定價ノ精密ナルト,極メテ微量ノ血液ニテ施行セラレ得ル事ヲ以テ卓越セリト雖モ,此レ等ヲ以テ最正確ナル成績ヲ學ゲ得ルニ至ル迄熟達セムニハ有ニ數週間ヲ費シ,且完全ナル設備ヲ要シ,其ノ術式タルヤ極メテ繁雜ナレバ特別ノ精査ヲ要スル學術的研鎖ニ適用セラルヽ以外ニテ,臨床的血糖測定ニ向ツテハ,簡易ナル比色的血糖測定法ニテ足レリトナス.殊ニかつとなー,らいつ氏微量比色計,かーる,つあいす血糖比色計,すぼくす氏比色計等ヲ利用セバ充分精密ナル檢査ヲ遂ゲ得可シ.6)余ノ推擧スル所ノ簡易血糖測定法ノ試藥ぴくりん酸ハ從來るゐす,べねぢくと氏法等ニ於テ使用セラレシモノニシテ,決シテ斬新ナルモノニ非ザルモ,之ヲ岡部氏法ノ見地,考案,及原理ニ協調セシメ,長短相補ヒテ,至極簡易ニ實施シ得ル已ナラズ,正確ナル點ニ於テモ他法ノ追隨ヲ許サザルモノト信ズ.