著者
岡本 紀明
出版者
流通経済大学
雑誌
流通経済大学論集 (ISSN:03850854)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.133-148, 2006-10

会計上,企業や取引の形式よりも経済的実質を優先すべしとする実質優先主義が,財務会計における根本原則であることに異論はないだろう。だが,多くの局面で主張されるにもかかわらず,反映すべき実質とはいかなるものか,これまで体系的な理論的考察が加えられることがなかった。本稿は,哲学および社会学的な視点を導入し,会計において実質がいかに反映されるのか,新たな理論的枠組みを提示しようとするものである。具体的な本稿の構成は,以下の通りである。まず第1節で本稿の問題意識を提示する。第2節は,会計における実質に関する諸説を整理する。第3節では,Searle[1995]の制度的実体の理論の会計への適用を検討する。第4節では,それを展開させ,会計における実質は2つの規範に基づく集合的容認から構成される構図を提示する。第5節では,その構図を財務会計に解釈的に適用し,考察を加える。最後に第6節で,本稿の要約と今後の課題に言及する。

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