著者
堀口 利枝 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.57-66, 2009-11-30

本稿は、絵巻物にみられる「笠」の意匠を観察・解析したものである。調査対象とした平安時代から室町時代のおよそ400年間に制作された絵巻物33巻の中に、人々が使用する「笠」の図像が1153点みられた。それらの図像の観察を通して、本稿では「笠」の意匠の特質を下記のように析出した。(1)平安時代は巾子のある「笠」のみであったが、鎌倉時代以降には、「笠」の材料や製作方法の進展とも関連し、巾子のない「笠」や塗りの「笠」がみられ多様な「笠」の文化が繰り広げられる。(2)「笠」は、上流者から庶民に至るまで多くの階層で使用されていたが、階層ごとに、使用者と「笠」の種類・形状との間に一定の関係性がみられる。(3)「笠」の使用目的は、風雨・風雪・陽光などを避ける物理的・実用的機能のみならず、女や僧・尼たちの間では顔・面を覆い隠す道具でもあった。(4)祭りに登場する「笠」には特異な風流が施され、神が降り立つための標、降り立った神そのものの標としての役割を果たした。

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こんな論文どうですか? 絵巻物に描かれた「笠」の意匠 : ヒトとモノとの社会的・文化的関係性に関する研究(2)(堀口 利枝ほか),2009 http://t.co/IkgfLJSC
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