- 著者
-
上西 知子
- 出版者
- 美術科教育学会
- 雑誌
- 美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
- 巻号頁・発行日
- no.30, pp.81-97, 2009-03-21
本稿は,美術教育が表現教育や鑑賞教育にとどまらず「自己理解」を担う教育であることを明らかにするために,コラージュ画制作後のインタビューの「語り」をテキストとする「制作経験調査」結果の考察から,コラージュがなぜ「自己理解」へとつながり易いのかについて検討する。コラージュの制作過程では,制作者が切断された不連続な「断片」を「試行錯誤」を通じて「再構成(綜合)」し作品を作る。その「作品」について制作者が「語る」中で,作品の中の「不連続性」を「創造的解釈」によって一つの「物語」としてつなげようとする時,自分の記憶や期待が浮かび上がり,その意味を理解しようとすることが「自己理解」につながることが明らかになった。