- 著者
-
立原 慶一
- 出版者
- 美術科教育学会
- 雑誌
- 美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
- 巻号頁・発行日
- no.30, pp.229-240, 2009-03-21
本研究が提案する方法論に基づいて,一連の題材実践を行いその結果を考察してきたが,それによって制作者の鑑賞及び評価能力を高めることが確かめられた。それは一定の手続きを踏んで作成された,質問紙による自作品の鑑賞体験が当該能力の育成にとって効果的である,との方法論的仮説である。質問事項は,基本的には作品の表現性(「主題形成」と同義)を直観させるとともにその成立条件を洞察させるべく,制作者に力強く働きかけた。各質問項目では文章のテンプレートが,主題意識とその効果的な造形表現化のあり方との関係を見極めさせるなど,有効に作用したのである。