著者
加藤 幸治
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.225-241, 2005-09-30

本稿では,企業グループの企業戦略や組織再編の中で,子会社とりわけ情報サービス子会社を中心とするサービス関連子会社がどのように配置・展開され,どのように再編されているのか,IT企業グループであるA社グループの展開とその日本法人・日本A社における子会社・関連会社の展開を跡付けることを通して検討していく.日本の情報サービス産業においては,大企業の影響力がもともと強く,近年におけるグローバル競争の本格化,金融グローバル化(なかでも日本における国際会計基準の導入)によって,大企業グループの動向が情報サービス産業に与える影響がより一層強まっている.グループ全体の利益が優先される中,子会社の生産性や市場での優劣に関係なく,全社的視点から位置付けや方針が決定されているからである.その中で情報サービス産業の子会社・関連会社の立地・配置やその展開は,情報サービス企業の論理によって決まるというよりも,むしろそれを一部として内包する企業グループを取り巻く競争環境・競争条件,それに対応するグループの戦略・行動に大きく左右されている.地域的視点からみれば,企業(子会社)とその立地地域との関係はこれまで以上に希薄なものとなり,「企業の論理」が貫徹される傾向が近年ますます強まっている.こうした「グローバル化」を共通の起動因とした企業グループの行動は日本企業に広くみられており,企業論的視点が産業・企業と地域との関係を捉える上で,より重要性を増している.

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