著者
中田 尚美
出版者
神戸海星女子学院大学研究委員会
雑誌
神戸海星女子学院大学研究紀要 (ISSN:13468154)
巻号頁・発行日
no.50, pp.69-74, 2011

2000年から実施されているPISA調査は、単なる知識・技能の習得をこえた新しい能力像を示した。それは、「言語や知識を理解し利用し、それに基づいて判断することで、思慮深い市民として社会に参加する能力」としてのリテラシーを測る調査であり、多くの人々の関心を引いた。また、その結果が日本の教育に大きな影響を与えた。PISAリテラシーは元来「機能的側面(既存社会への効果的で適応的な対応)」と「批判的側面(既存社会の変革)」の両面をもっていた。しかし、今日、両義性は失われて社会への適応という意味だけが肥大化しつつある。PISAリテラシーの両義性をもう一度取り戻し、そこに社会の在り方を問い直す視座を取り入れていくことが求められている。

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