- 著者
-
本馬 周淳
- 出版者
- バイオメディカル・ファジィ・システム学会
- 雑誌
- バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.1, pp.65-70, 2012
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
-
1
目的:胆嚢摘出術において鏡視下手術群(L群)と開腹手術群(O群)の術前後の唾液アミラーゼ値から両手術のストレス度の違いを比較検討した。対象:2007年8月から2008年8月に、全身麻酔下(全麻)または全身麻酔+硬膜外麻酔(全麻+硬膜外)併用で胆嚢摘出術を施行した20例。L群:13例(男性7、女性6;平均年齢65歳)、O群:7例(男4、女3;平均年齢68歳)。方法:手術当日朝、手術翌日朝に唾液アミラーゼ値(KU/L)を測定した。測定機器にはCocolo Meter(ニプロ)を使用した。術後の症状、訴えは口答で聞き取りを行った。結果:手術前後ともにL群の唾液アミラーゼ値が低値であったが両群間に有意差はなかった。両群の唾液アミラーゼの平均値は、L群では術後に低下したが、O群では術後に上昇傾向を示した。L群の13例中仰臥位による腰痛や口渇を強く訴えた3例のみ術後アミラーゼ値が著明に上昇した。O群では全麻の3例が上昇、全麻+硬膜外麻酔の4例中2例は低下した。考察:鏡視下胆嚢摘出術は開腹術と比較してストレス度の低い手術であると思われた。唾液アミラーゼ値は術前不安および術後創痛の程度を反映していると考えられた。