著者
ZION Mark N.
出版者
中央大学総合政策学部
雑誌
総合政策研究 (ISSN:13417827)
巻号頁・発行日
no.20, pp.137-165, 2012-03

ユダヤ教,キリスト教,イスラム教と,どの宗教を見ても明らかなように,私たちは今,新たな宗教復興の時代に生きていると言える.ジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668 ― 1744) によれば,文明は神権政治に始まり貴族政治と民主主義を経て再び神権政治の順で循環しているという.彼が正しければ,私達が生きているのは単に宗教的熱狂の時代ではなく,神権政治への回帰過程であるとも言える.そして,もしそうであれば,聖書の持つ意味合いはかつてないほどに重要な色合いを帯びてくることになる.しかし,この時代がヴィーコの仮説通りの過程ではないとしても,私たちが聖書への理解を深めることは極めて重要である.何故なら,いくつもの時代を経てなお人々を魅了し続けて止まない聖書を理解することは,国々の文化や人々の価値観の基盤を理解することにも繋がる大切な作業だからである.ここでは,私が日本の各大学の教壇で聖書を取り上げてきた経験を踏まえて,聖書を学ぶことの原点に立ち返り,モーゼの書が世に送り出されるに至った経緯即ち聖書誕生の原点について考えてみたいと思う.

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CiNii 論文 -  聖典にまつわる話 : モーゼの本 https://t.co/8GblQPlZ6V #CiNii

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