著者
長崎 敏也
出版者
応用森林学会
雑誌
森林応用研究 (ISSN:13429493)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.33-38, 1999

近年,南方熊楠が,明治政府による「神社合祀」に反対し,神社と神社林を守る運動を行ったことが,環境保護運動の先駆として,最近の環境問題に対する関心の高まりとともに注目されるようになっている。現在のところ,南方熊楠は,明治時代に既に「エコロジー」という言葉を用いたことから,自然と人間の生活をつながりあるものとしてとらえる,現代の環境保護に関する思想に相当する思想を持ち,神社合祀反対運動はその視点に立って行われたもめであるとする見方が有力である。しかし,南方熊楠が神社合祀反対運動に際して用いた論理は,「神社」が廃社となることによって,地域社会の習慣や伝統が崩壊し,「神社林」を伐採することによって貴重な生物が滅ぶというものであり,「神社」と「神社林」は分離されている。自然と人間の生活との関係については,既に主張され,あるいは知られていたことを利用しているに過ぎず,「エコロジー」という言葉も,当時外国で既に誕生していた「生態学」を意味する程度である。

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