- 著者
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新海 浩之
- 出版者
- 日本犯罪社会学会
- 雑誌
- 犯社研究 (ISSN:0386460X)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, pp.40-58, 2012
刑務所収容は刑罰の執行形式として主要なものとなっているが,その意義については,現在,活発に議論されていない.そのような状況下で,刑務所収容を実際に執行する刑務所職員と,刑務所収容の対象となっている受刑者は刑務所の状況についてどのような心象を抱いているのだろうか.本稿では刑事収容施設法の施行後に導入された専門的処遇との関係で職員が抱いている印象について,研修の後に示された意見を基に探り,LA受刑者に対するアンケートを元に受刑者の抱いている刑罰に対する印象について探ることを試みた.職員は新法によって導入された専門的処遇との関係で自らの役割に戸惑いながらも担当する受刑者の社会復帰と改善更生を目指して仕事をする必要性を認識しており,一方,LA受刑者は受刑に関して不満感を抱きながら,自らが変化する必要性を感じているが,再犯の可能性は低いと考えていること等が判明した.これらは今後のLA受刑者の処遇に向けた方向性も示していると考えられる.