- 著者
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嶋瀬 拓也
- 出版者
- 一般財団法人林業経済研究所
- 雑誌
- 林業經濟 (ISSN:03888614)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.5, pp.1-16, 2005-08-20
- 被引用文献数
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国内製材業における製品(製材品)の出荷先地域別出荷量に注目し、その変化と製材業大手の供給戦略との関係について検討した。まず、統計データの分析から、我が国製材業の製品出荷に関する地理的変化として、(a)自県向け・三大都市圏向けの縮小と地方圏向けの拡大、(b)製材生産が活発な県と不活発な県の二極化、(c)出荷シェアを拡大した県における出荷の広域化がみられることを明らかにした。次に、製材品需要が縮小する中で製材業大手が生産規模の拡大に取り組んでいることが、上にみた変化を引き起こす要因となっていることを示した。製材業大手における規模拡大は、これまでのところ専門性(生産品目や素材樹材種の特化)を保ちつつ進められている。製材業大手は、品質に幅のある生産物をより有利に販売できるよう、専門性を保ちつつ生産規模を拡大し、広域な出荷圏や幅広い顧客層の確保に努めている。