著者
藤 博之
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.801-809, 2013-12-05

結び目のJones多項式とChern-Simonsゲージ理論との関係が明らかとなって以来,量子場の理論は結び目不変量の研究にしばしば影響をもたらしてきた.特にここ10年の進展では,結び目不変量の研究においては「圏化」と呼ばれる概念が導入され,新たなクラスの結び目不変量が発見されており,一方理論物理学では弦理論において「D-ブレーン」の概念が導入され,結び目不変量に対する物理的理解がより深まっている.近年ではこれらの観点を融合し,結び目不変量の圏化によって得られた結び目不変量を統一的に取り扱う枠組みの研究が進展を遂げ,興味深い結果が得られてきた.本稿では,これらの研究に関する進展の概要を紹介する.

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