- 著者
-
野辺 明子
- 出版者
- 日本新生児看護学会
- 雑誌
- 日本新生児看護学会誌 (ISSN:13439111)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.1, pp.2-9, 2004-02
先天的な障害や病気をもって生れてくる赤ちゃんはけして少なくない.すぐにでも治療を必要とする重度障害新生児から,命に別状はないものの,顔や手足にいわゆる「奇形」といった形態異常がある赤ちゃんまで様々である.しかし,赤ちやんの障害の軽重によって親が受けるショックや悩みに大きな差があるわけではない.第三者の目からすれば「軽い,たいしたことはない障害」と映ったとしてもその赤ちゃんの親の心は他人の状況判断とは全く別で,時には激しく大きく揺らいでいるのだ.また,出生前診断が普及してきた現在,赤ちゃんが何らかの問題を抱えていることを出産前にある程度知らされている夫婦もある.ハイリスク外来で精密検査を受け,それなりの覚悟をもって出産を迎えた夫婦であっても,我が子が障害をもって生れてきたことがいざ現実のこととなれば,やはり大きなショックを受けるのが普通だ.ましてや障害児が生れるなんて思ってもみなかった夫婦にとって医師からの告知は大変なショックをもたらす.子育てへの意欲が芽生えてくるまでにかなりの時間を必要とする親たちへのケアについて私たちの体験から要望を述べてみたい.