- 著者
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大川原 竜一
- 出版者
- 明治大学学芸員養成課程
- 雑誌
- MUSEOLOGIST・明治大学学芸員養成課程年報 (ISSN:09124330)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, pp.64-73, 2004-03-25
京都府南東部に位置し、昭和六(1931)年に伏見市・深草町・醍醐村など、九市町村の合併・編入によって誕生した伏見区は(昭和二十五(1950)年に羽束師村・久我村を、昭和三十二(1962)年に淀町を編入)、市内最大の約28万8千人の人口を擁する行政区である。区内には、桂川、宇治川など主要な河川が流れ、古くから伏見港などを中心に京都・大坂の水運の拠点として発展している。また耕地面積市内第1位の農業も、区画整理が進む中で、米、野菜、花等が生産され、市民への新鮮な農産物提供に大きな役割を担っている重要な地域でもある。この他、神社仏閣、酒蔵や名所史跡などの歴史資源やかつての城下町、門前町、港町としての風情を残した町並み、祭りや伝統行事などが受け継がれ、伏見と聞くと、多くの人は、醍醐寺・伏見稲荷大社、淀城や伏見城、幕末動乱の舞台となった寺田屋などや、伏見の清酒を連想させる。