著者
山中 啓義 立花 義浩 堀口 憲一 栗田 紹子 櫻井 高太郎 嶋中 昭二 浅野 裕
出版者
市立室蘭総合病院
巻号頁・発行日
2004

市立室蘭総合病院(以下当院)は一般病床429床、精神科病床180床の計609床の総合病院であり、年平均600名の癌患者が入院している。1998年4月1日~2003年3月31日までの過去5年間で入院した癌患者の総計は3231名であった。この中で身体科から精神科神経科(以下当科)へコンサルトされた新来患者126名(男性88名、女性38名)を対象とした。方法は癌原発巣、転移の有無、告知の有無、癌治療、精神科依頼理由、精神科受診までの期間、精神科診断、精神科治療、精神科診察期間、患者の転帰の10項目について後方視的に調査した。結果は(1)入院癌患者の精神科受診率は3.9%であった。(2)診断はせん妄、痴呆などの脳器質性精神障害の割合が多かったが、不安、抑うつ気分を主訴としたコンサルトが増加傾向にあった。(3)癌告知後に不安障害、気分障害を呈する症例を多く認めた。以上より当院における入院癌患者のQOL向上のためにも、今後は癌告知後のコンサルテーション・リエゾン活動の充実とともに、身体科からのコンサルトを待つ立場から、身体科治療の一員として当科が積極的に関与していく立場への変化が必要とおもわれた。

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