- 著者
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長門 利純
原渕 保明
- 雑誌
- 耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.1, pp.48-52, 2008-08
雑誌掲載版従来、アレルギー性鼻炎に対する免疫療法の抗原投与は皮下注射で行われてきたが、長期通院や注射による痛みなどの欠点があり、新たな投与経路として鼻粘膜や口腔粘膜が注目されている。鼻粘膜を介した免疫療法は、花粉症患者を対象とした二重盲検試験が行われ、鼻症状とmedication scoreの有意な改善が得られたとの報告もある。また、投与する抗原の改良も行われており、そのひとつにペプチドが挙げられる。抗原タンパクからT細胞が認識するアミノ酸配列(エピトープペプチド)を選び、それらを使用することで副作用を軽減できる。さらにpromiscuousなエピトープを見つけることで、HLAの多様性を克服することができる。このように、アレルギー性鼻炎に対する免疫療法の将来を考える上で、新しい投与経路の検討と抗原の改良は不可欠であり、鼻粘膜を介したペプチド免疫療法は新たな治療戦略のひとつとなる可能性を秘めている。