著者
面手 智也 菊池 小百合 蟻田 祥子 山本 夏子
出版者
日本銀行
雑誌
日銀グランプリ
巻号頁・発行日
vol.7, 2011

今年3 月11 日の東日本大震災は、東日本の被災地にとどまらず、日本の社会全体にとって大きな打撃となった。その中でも福島第一原発事故については、国民一人一人が原発の是非を問われることになった。この状況から現在、原発に代わるエネルギーとして、いわゆる自然エネルギーが注目されている。そして、自然エネルギー発電の開発・運営を目的とする自然エネルギー事業は、資金を集める手段の一つとしてグリーンファンドを利用している。 一般に、現行のグリーンファンドは比較的高額な購入単位を設けており、高額な購入単位によって仮に投資家が限定されているならば、自然エネルギー事業に貢献したいと思っている人や、興味を持っている多くの人が実際には投資に参加できていないのではないかと懸念される。 そこで、私たちは少額から投資できるシステムである「下3 ケタ投資」を提案する。私たちが預貯金を引き出すのにしばしば使うのは、コンビニエンスストアに設置されているATM である。そのATM では、一般的に硬貨を引き出すことができない。硬貨を引き出せない結果として、預貯金口座には常に1000円未満の端数の残高が残される。「下3 ケタ投資」とは、この残高の端数である下3 ケタを毎月投資に回し、有効に使おうというアイデアである。現行のグリーンファンドのような高額な購入単位ではなく、下3 ケタという少額からの投資を採用することで、グリーンファンドに投資する投資家の範囲の拡大を期待できると思われる。 さらに、投資家は事業の成功による投資のリターンの他に、自然エネルギーへの理解をさらに深めることができる「マイページ」サービスを受けられるような制度工夫を提案したい。「マイページ」上では、投資家の累積投資金額の確認や、発電所の日々の発電量を知ることができる。また、自然エネルギー関連のニュースを閲覧することができ、発電所管理者と直接コミュニケーションを取ることができる場を設けることとする。さらに、毎月自然エネルギーを題材としたイベントを開催し、イベントの参加者及び受賞者にはポイントを付与し、集めたポイントに応じて自然エネルギー関連商品と交換することができる。「マイページ」サービスを通じて、自然エネルギーへの興味や理解を示す人が一人でも増えることを期待したい。 小さな一歩である「下3 ケタ投資」を通じて、多くの人に投資と自然エネルギーへの理解を深めてもらい、日本の将来の展望が大きく変わる大きな一歩となることを切に願う。指導教員:安田行宏(経営学部) 日銀グランプリ第7回(2011)最優秀賞 外部リンク先:日本銀行・日銀グランプリHP

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