著者
高山 一郎
雑誌
研究報告
巻号頁・発行日
no.79, pp.19-25, 1995-03

『英語III』は映画を用いて主に話し言葉としての英語の聞き取りの力を養成しようというプログラムであるが、このような授業の経験がなく、長い間英語から離れていた学生にとっては、かなりむずかしいようである。面接授業を担当しているとわかることであるが、高校卒業程度の英語の基礎学力もなく、『英語III』の履修は無理ではないかと思われる学生も少なくない。しかし同時に、多くの熱心な学生が英語力がなくてもなんとか努力して単位を取ろうとしていることにも気づく。放送大学の学生は、他の大学ではあまり見られない、学習意欲が非常に高い集団であることは間違いない。学生から『英語III』をどのように学習をしたらよいのか質問された場合、われわれは、放送授業を何回も視聴しなさいとか印刷教材をよく読みなさいなどと答えることが多かったが、この他に何かよい方法はないだろうか。また、なにか基礎をつける教材を教えて欲しいと言われて、中高の教科書とかNHKの『基礎英語』とか『英語会話』を勧めることもあったが、もっと放送大学の番組と関連を持った効率的な方法はないだろうか。今回このようなことを考え、主教材に準拠した自主学習教材として補助教材を作成した。放送大学の英語履修者には様々な学習歴をもった者が多く、学生間の力の差は非常に大きい。学力はないが意欲が高い学習者がまず、補助教材の対象であり、これらの人達にはなによりも放送授業をよりよく理解してもらい、できれば英語の基礎的な力を養成してもらおうと考えた。さらに、かなり英語ができる学生には、この『英語III』の内容を利用して、幅広い英語力を身に付けてもらおうと考えた。今回の補助教材の目的は次の二つであったと言ってよい。1.『英語III』を理解する補助。2.『英語III』の文脈を利用した総合的な英語力の養成。そして、その特徴は、任意性、ワークブック形式、音声中心、レベル別構成、『英語III』の文脈・内容の発展的利用、身近な学生生活の利用などである。これらの特徴を説明し、それぞれの理論的根拠を論じたい。

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