著者
飯田 清子
出版者
弘前大学大学院地域社会研究科
雑誌
弘前大学大学院地域社会研究科年報 (ISSN:13498282)
巻号頁・発行日
no.11, pp.45-56, 2015-03-18

本稿では、地域の経済発展の差の一部を教育水準の違いで説明することができるかを考察する。地域の教育水準すなわち、人的資本蓄積の違いが、経済成長へどの程度影響を及ぼしているかを、学歴別労働者の構成比率と賃金、地域間の所得の格差によって説明する。地域間の所得の格差が、どの程度教育によって説明できるかの検証は、Weil(2010)に倣い、人的資本を考慮したソローモデルに基づいて、地域の経済成長の要因分析を行う。そこで、地域経済において生産要素としての人的資本がどの程度経済発展の牽引をしているのか、「県民経済計算」や「国勢調査」、「賃金構造基本統計調査」のデータを用いて考察を行った。次のような結果が得られた。① 通学年数により、1 人当たりの県民所得のある程度の変動を予測することが可能である。② 労働投入量の差比、すなわち人的資本蓄積における地域格差は、生産高比率によって示される地域格差よりも大きくなる地域と、小さくなる地域があり、地域の状況を表している。③ 東京都といくつかの特徴のある県以外の県では、平均通学年数、生産高比率において、大きなばらつきがない④ 相対的な賃金をみると、一般に男性よりも女性労働者で、通学年数の増加による賃金の増加が大きい。

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