著者
滝 巌
出版者
広島大学水畜産学部
雑誌
広島大学水畜産学部紀要 (ISSN:04408756)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, 1963-12

近年著者の入手したタコ類4種を記載した. これらは昨年(1962) 日本動物学会大会(岡山}で発表し要旨は動物学雑誌71巻397-398頁に載っている.1) テナガヤワラダコ胴部などの破損した標本2点で,銚子沖産.全長約200mm,套長約50mmで体は亜寒天質で半透明,腕は細長く側扇し吸盤は1列に並ぶ.交接腕(右第3腕)の舌状片は糸状に細い.外套関口は2部に分かれ,歯舌の中央商は9歯尖,第I側歯は6歯尖,第2側歯は7歯尖を有するのでフクロダコ族に所属するが,既知のどの科にも属せしめることができないのでテナガヤワラダコ科とテナガヤワラダコ属を設け,フクロダコ科・クラゲダコ科との関係について,も考察した.2) ヤワハダダコ土佐足摺岬沖と紀南礁で採れたもので全長約115mm,套長約36mm.未成熟個体で皮下に極めて軟かい寒天質層がある.腕は比較的短かく吸盤は小形で傘膜は広い.ハワイ・セイロン島南・アラビア海・ペルシャ湾で採れており日本は新分布地である.3) センベイダコ標本2個で和歌山県南部沖産.既知のメンダコと比べると傘膜は狭く背軟骨はゆるい弧状に曲がる点その他多くの点で異るが,Opisthoteuthis pluto, O.persephone (どちらも大豪洲湾産),O. extensa (スマトラ附近産)と比べても背軟骨・鰹葉数・鰭形・触毛翰・体色などで異る.4) オオメンダコ鹿島灘で採れた5個で,北米加州で1949年IC知られた種IL同定しうる.甚だ大形で成熟雄には腕全長の中央部と左右の第1腕の先端部近くと合計2個所IC大形吸盤がある.太平洋の東西2地方IC同一種を産することは注目される.

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