著者
鍾 清漢
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 = The journal of Kawamura Gakuen Woman's University (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.187-210, 1998-03-15

近年来,中国は勿論,欧米からアジアに至る世界各地で,客家学の研究が急速に盛んになってきている。その原因はいろいろと挙げられるが,総じて言えば,二十一世紀を控えて,中国をはじめとするアジアの急激な発展によってもたらされたものである。顧みれば近代中国の政変や改革において大きな役割を演じてきた数々,例えば,太平天国,辛亥革命,五四運動,中華人民共和国の建国等,そのどれにも客家出身者の活躍が際立って見える。その中でも,洪秀全,孫文,宋慶齢姉妹,朱徳,彰徳懐,葉剣英,郭沫若,蓼承志,郵小平等各氏,現中国の李鵬首相,朱鎗基副首相等の指導者が客家である。また,東南アジアの指導者の中では,台湾の李登輝総統,行政院長の蒲万長氏,民進党野党第一党首の許信良氏,前国民党秘書長の呉伯雄氏,カンボジアのシアヌーク国王,フィリピンのコラソン・アキノ前大統領,シンガポールのリーグァンユー元首相とゴーチョクトン現首相も客家出身である。経済界をリードしているターガーバームの胡文虎氏,香サリムグループ港の李嘉誠グループ,インドネシアの林紹良財団,タイの経済を牛耳っている華人,とりわけバンコク銀行も客家系の陳有漢氏が率いている。本文はまず漢民族における客家とは何か,その開拓者精神と特質,続いて客家の分布,移住,発展を分析し,そしてその客家人英傑を輩出している素地として宗族社会の規律についても考察,分析し,論述しようと試みた。

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