- 著者
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伊藤 純雄
菊地 直
加藤 直人
- 出版者
- 農業技術研究機構中央農業総合研究センター
- 雑誌
- 中央農業総合研究センター研究報告 (ISSN:18816738)
- 巻号頁・発行日
- no.14, pp.1-15, 2010-01
3種類の汚染土壌を充填した枠團場で,延べ39品種のホウレンソウ類を秋と春に栽培して,各品種の可食部におけるCd濃度の差が,生育条件により変動するかを検討した。1)最も濃度が低いフダンソウは,濃度が高いホウレンソウ品種に対して平均で30%程度のCd濃度を示した。ホウレンソウ品種間の比較では,最も低い品種のCd濃度平均値は,濃度が高いホウレンソウ品種の平均値の50%程度であった。しかし,品種ごとのCd濃度順位は,栽培条件による変動もあり,個別の試験で得られるCd濃度順位は必ずしも一定しない。2)既往の実験データを含む,延べ115品種,総計684点のホウレンソウ類のCd濃度品種間差データを「Cd指標」および「ゆらぎ」としてとりまとめた。Cd濃度が高まりやすい品種はモナリザ,アスパイアー,サンパワー,パシオン,ハンブルグ,サンピアテン,イーハトーブ,サマーステージ,タイタン,東海,など,Cd濃度が高まりにくい品種は,シュマイザー,ブレード,次郎丸,コンバット,アトラス,やまと,とフダンソウで,下位品種の「Cd指数」平均値は,上位10品種の0.52倍であったが,これらの結果は今後のデータの蓄積や解析手法の改良によって変化する可能性がある。3)「Cd指数」と比較して「ゆらぎ」が大きい品種は,栽培条件によってCd吸収が変化する可能性がある。また,データ源が一点だけの品種が多数あることや品種の入れ替わりが早いことから,今後もデータを蓄積,改訂する必要がある。