- 著者
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松本 美千代
- 出版者
- 東洋学園大学
- 雑誌
- 東洋学園大学教職課程年報 = Bulletin of Teacher Training Course of Toyo Gakuen University (ISSN:2434754X)
- 巻号頁・発行日
- no.3, pp.75-91, 2021-03-20
2020 年5月25日にジョージ・フロイドがミネソタ州ミネアポリスで警察に拘束中に圧殺されて以来、全米で抗議デモが噴出し、ブラック・ライブズ・マターに基づく白人の組織的暴力に対する抗議、黒人差別是正のための運動は世界中に拡大した。この運動の特徴の一つに、参加者の多様性が見られ、デモの参加者の半数以上が白人であるデータも明らかになった。このような時代背景の中で発表された2020年のトニー賞ノミネート作品は黒人問題を扱う作品が中心的役割を果たしている。とくに今回最多部門で候補作品に選出された、2019年にブロードウェイで上演されたアフリカ系アメリカ人の劇作家ジェレミー・O・ハリスの『スレイブ・プレイ』は、近年最も挑戦的な作品と言われ、BLMの時代における人種の力学について黒人の視点から描き出した作品である。本稿では、作品をWOKE 劇の観点から読み解き、作品が展開する新時代の人種偏見の描写法とその独創性について考察する。