著者
木原 均 フロラ リヱンフェルト
出版者
The Genetics Society of Japan
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-28, 1934
被引用文献数
26

細胞核の全部又はその一部がその細胞より隣りの細胞へと移動する現象を核脱出(Cytomixis) と呼んで居る。この現象は植物界に廣く存在して居る。筆者等は <i>T.aegilopoides</i>×<i>Ae. squarrosa</i> の花粉母細胞成熟分裂各期を研究の結果 Cytomixis を二つに分類すべきを提唱した。<br>(1) 嚴密なる意味の核脱出(Cytomixis <i>s. str.</i>)<br>(2) 核移住(Kerneinwanderung)<br>(1) 脱出する核物質は核の一小部分にして略一樣に染色し網状構造を示す事なし。これはレプトネマ頃に起る。多くは固定時に於ける人工的産物と認めらる。脱出はある一方向に向つて進む事多し、葯の上(下)端より中心に向ふが普通なり。<br>(2) は核の全部又は比較的大なる部分が隣細胞に移る。移住核(又は移住分核)は網状の構造を有す。との現象はレプトネマより第一分裂メタフェースに至る何れの時期にも見られる。自然状態にて起る現象で、恐らく外的誘因(例へば温度の變化)によつて惹起さるものなるべし。<br>移住核が完全なるゲノムを有する場合(即ち全核の移住せる場合)は移住後と雖も普通の生長を續け、主核と同時に第一成熟分裂を行ふ。その際兩核は同時に核膜を消失して合一し1分裂像を作る。之がためにシンディプロイド核(4x)の形成を屡々見ることあり。移住分核は副核を形成す。副核には大小ありて、その數は1母細胞につき1-5個を算ふる事あり。移住後の副核の運命は追求容易なり。一路退化の道程を辿るも甚だ複雜である。その模樣は挿圖に明示されである。<br>純粹種(<i>T. aegilopoides</i>)に於ても兩現象は發見された。併し後者では(2)は稀れである。

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こんな論文どうですか? Triticum aegilopoides×Aegilops squarrosaに於ける核移住竝にシンディブロイド花粉母細胞の形成(木原 均ほか),1934 http://id.CiNii.jp/QN0N

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