著者
杉野 幹人
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.3_85-3_92, 2012

潜在機能とは、人工物を取り巻く場が変化することによって新たに発現する機能であるとされる。これまでに、潜在機能が豊かな人工物の研究などにおいて、発見される潜在機能の評価法の研究が進められてきた。しかし、潜在機能を発見する意義については、潜在機能を発見することが人工物の使用の継続、延いては廃棄抑制に繋がるということ以外は明らかではなかった。<br>本研究では、人工物の潜在機能を発見する意義の一つとして、人工物の潜在機能を発見してその人工物を転用することが、イノベーションの起点となり得ることを明らかにした。<br>潜在機能はこれまでにイノベーションの観点では注目されてこなかった。今後、ユーザーによる潜在機能に対する意図的な着眼や、デザイナーによる潜在機能の分析、そして、研究者による手法やツールの開発によってユーザーやデザイナーに対する支援が進むこと、そしてそれらにより、イノベーションの起点が増えることが期待される。

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