著者
斉藤 晶 竹越 哲男
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.336-339, 2012
被引用文献数
3

耳管開放症はまれな病気でなく,全人口の5%に存在している可能性がある。自声強聴や耳閉感がよく見られる症状である。薬物治療,手術を含め種々の治療が行われているが,満足した結果が得られていない。漢方医学的には,気虚または血虚と考えることができる。耳管開放症の漢方治療は加味帰脾湯が良く知られていた。今回,補中益気湯を10症例に投与した結果を報告した。4例が改善,1例がやや改善,4例が不変であった。作用機序は,耳管の緊張の亢進,耳管周囲の脂肪組織の増加,精神面への影響を考えた。補中益気湯が耳管開放症の選択肢の1つとなることが期待される。

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