著者
井上 正
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.447-453, 1989
被引用文献数
1

外科医は常に手術を中心として創造に向って歩まねばならない.このためには深い思索と優れた着想が必要である.そうしてそれを実証し,評価し,また未来に向って探究する.その中に常に外科医の夢-surgeon's dreamが欲しいものである. <BR>心臓大血管外科の歴史は正にこの流れそのものである.1945年Taussigが着想し,Blalockが実証したFallot四徴に対する短絡手術,1948年Baileyによる僧帽弁交連切開術から1954年Gibbonによる人工心肺による開心術の成功を経て,1960年Starrの人工弁手術,1969年Favaloroの冠動脈バイパス手術から,最近の人工心臓をブリッジとした心臓移植の今に到る迄,この思想は脈々と流れ続けている. <BR>この間にあって,我が国で創案・創始された数々の手術,例えば新井,川島,佐治,今野・相馬,竹内,村岡などの手術に対して深い敬意を表わすとともに,これを育み,育て,さらにこれに続く手術が開発されることを念願して止まない.消えることなく夢を持ち続けたいものである.

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