著者
中村 成人
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.634-639,023, 2001

1. 風力発電の現状<BR>世界的な地球環境への意識の高まりを背景に, 90年代半ば以降欧米先進各国を中心に風力発電に代表されるいわゆる再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいる。現在全世界で設置されている風力発電の総容量は約12,500MW, 最大のドイツで4,445MWであるのに対し, 未だ離陸期にある我が国の設置済み容量は100MW程度と推測される。<BR>トーメンは1987年に米国カイリフォルニア州におけるプロジェクトを始めとして, 現在までに欧米, 日本の6ヶ国で合計約700MWの風力発電設備を建設・運営中である。<BR>2.苫前グリンヒルウインドパーク<BR>1999年11月, トーメンは日本で初めて且つ最大規模の集合型風力発電施設 (1MW×20) を, 北海道苫前町に完成し運転を開始した。この施設は通産大臣の新エネルギー事業者としての認定に基づく補助金対象事業であり, 且つ17年に亘り発電電力の全量を北海道電力に売電する我が国初の風力発電による卸電力事業でもある。その特長は下記の4点である。<BR>・大規模化による大幅なコストダウン (風車はデンマーク製を採用)<BR>・複数の運転員を常駐させることによる安全・安定操業の確保<BR>・周辺環境との調和<BR>・地域社会との共生<BR>3.風力発電の将来<BR>欧米各国は政策的支援を含めて, 今後供積極的に風力発電の導入を促進していく方針を明らかにしている。日本においても漸く風力発電を始めとする自然エネルギー導入に関する本格的な関心と議論が高まるところとなって来た。風力発電の本格的且つ大量の導入に当たっては技術的, 経済的な課題もあるが, これらを踏まえて種々の観点から, 国民の一人一人が自分自身の明日のライフスタイルとエネルギーを選択する時期に来ているものと考えるものである。

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