- 著者
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李 恵求
- 出版者
- 社団法人 東洋音楽学会
- 雑誌
- 東洋音楽研究 (ISSN:00393851)
- 巻号頁・発行日
- vol.1965, no.18, pp.235-242, 1965
筆者は「韓国に於ける左方楽と右方楽」 (註1) の中で、次のように納曾利に言及した。<BR>日本の右方舞の一である納曾利 (ナソリ) は (左方舞) 蘭陵王の番舞であり、又その蘭陵王は前記崔致遠の郷楽雑詠五首中「手抱珠鞭役鬼神 (即ち鞭で鬼神を追払う) 大面に相応するため、納曾利も (蘭陵王) と同じく、追儺に使用されたと解せられ、 (従って) その「 ナソリ」は韓国語の「 ナ」 (灘の義) 、「 ソリ」 (歌の義) の音読と考えられる。<BR>このように考えた筆者が、去る二月、アメリカのU ・C・L ・Aで、偶然、東儀季信氏指導の下に納曾利の舞の稽古が行われたのを見た時、この右方舞についてますます関心を持った。すなわち筆者が見た納曾利はいったい何を表現するか? その舞は何を意味するか? について考えさせられた。以下、この問題について私見を述べたいと思う。