著者
松村 博
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.201-208, 1999

橋のような公共構造物は、時の政治権力によってつくられ、軍事的、政治的な理由によってその建設がコントロールされていたと考えられがちであるが、そうではなく社会経済的な条件やその時の技術水準によってその存立が規定されたと考えるべきである。<BR>日本の橋の歴史を概観してみると、その発展史は、橋は常に民間が必要日本の橋の歴史を概観してみると、その発展史は、橋は常に民間が必要とし、その時代の経済力に応じて支えられてきたこと、また橋の技術は特定の集団に秘蔵されていたのではなく、多くの人々に開かれたものであったという二つの視座を措定することによって説明できると考えられる。<BR>このテーマを説明するために、古代から現代までの橋の歴史の流れを示すとともに、官と民が主導的に行った橋の整備事業の特性を分類、整理した。この視点を深めることによって交通インフラ整備における政治優先説や技術機密説などの誤りを正すことができると考える。そして今後のインフラ整備のあり方を歴史から学ぶことができるものと思われる。

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