著者
三原 一幸 高岡 京
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.389-393, 1959

リシノール酸およびそれを酸化して得られる12-ケトオレイン酸のサッカロースモノエステルを合成して,その界面活性剤としての諸性状を明らかにするとともに,既に報告があるサッカロースモノステアレートおよびオレエートと,同一条件下における比較検討を行って,脂肪酸基の構造の差異によるその界面活性能の相違について研究を行った結果,(1)これら4種のエステルの表面張力,界面張力は各濃度においてほぼ同じであり,大きい差異はない。(2)浸透性は1%以下の濃度にあっては12-ケトオレエートが,1%にあってはリシノレートが大で,脂肪酸部に親水基を持つものが良好であり,ステアレート,オレエートと大きい差異を生じた。(3)起泡性は12-ケトオレエート>リシノレート>オレエート>ステアレートの順となり,特にステアレートは小さく,1%濃度においては12-ケトオレエートの約1/10であった。(4)乳化性は植物油6種,鉱物油1種について行った結果W/O型エマルジョンでは,ステアレート,オレエートが,O/W型ではリシノレート,12-ケトオレエートが良好であった。(5)その他溶剤に対する溶解性,ミセル限界濃度,ビルダーの影響等について調べた。

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