著者
佐藤 誠 松木 健三 菅原 陸郎
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.484-487, 1968
被引用文献数
5

定電位掃引法により酸性溶液中における二酸化マンガン電極の還元反応について検討を行なった。その結果還元分極曲線は,電解液のpHおよびマンガンイオンの濃度に依存した一定の電位で二ヵ所に還元波を示し,第1波は二酸化マンガン,第2波は低次のマンガン酸化物の溶出反応に対応することがわかったのマンガン酸化物の溶出反応に対応することがわかった。すなわち,pH3以下で第1波のピーク電位とpHおよびマンガンイオ。すなわちンの濃度との関係は,掃引速度に関係なく(1')式に一致し,第2波のピーク電位では,掃引速度が速い場合(3')式に一致するが,掃引速度が遅い場合(4)式に示した不均デ化反応による影響のため(3')式からずれるようになる。またpH3以上になるとピーク電位は(1'),(3')式から大きくずれるが,これは中性溶液中での反応と類似した挙動を示すためと思われる。<BR>以上の事実から,酸性溶液中における二酸化マンガン電極の還元の総括反応は(1)式で示されるが,その過程は中間体として(2)式によりオキシ水酸化マンガンを生成し,ついで(3)または(4),あるいは(3),(4)式にしたがって電解液に溶出するものと考えた。MnO<SUB>2</SUB>+4H<SUP>+</SUP>+2e→Mn<SUP>2+</SUP>+2H<SUB>2</SUB>O (1) E=E<SUP>0</SUP>-0.118pH-0.0296log(Mn<SUP>2+</SUP>) (1') MnO<SUB>2</SUB>+H<SUP>+</SUP>+e→MnOOH (2) MnOOH+3H<SUP>+</SUP>+e→Mn<SUP>2+</SUP>+2H<SUB>2</SUB>O (3) E=E<SUP>0</SUP>-0.178pH-0.0591log(Mn<SUP>2+</SUP>) (3') 2MnOOH+2H<SUP>+</SUP>→MnO<SUB>2</SUB>+Mn<SUP>2+</SUP>+2H<SUB>2</SUB>O (4)

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