- 著者
-
旭 正一
- 出版者
- 日本皮膚科学会西部支部
- 雑誌
- 西日本皮膚科
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.4, pp.685-693, 1985
免疫反応は, 生体が「異物」と認識した「抗原」に対する排除反応であると考えられる。抗原の認識からはじまつて, 抗体や感作リンパ球の産生がおこり, この抗体やリンパ球が抗原と反応し, さらにいくつものメカニズムが作用して, 最終的には炎症反応などの生体反応がおこつてくる。この間に多くの反応段階があり, 複雑な経路をたどつて反応が進行してゆく。この各段階において, いろいろな活性物質が細胞から放出されたり, 細胞外でつくられたりする。これらの微量活性物質は, 反応を進行させたり, 抑制したり, 細胞間の情報伝達をおこなつたり, 組織反応をおこしたりする。免疫学の研究がすすむにつれて, 新しい生体物質や活性因子が次々と報告され, ぼう大な数に達している。免疫学を理解するには, このうちのおもなのだけでも理解しておく必要があるが, あまりにも数が多くて, それぞれ長い名前がついており, BCGFだのMAFだのIFNだのといつたまぎらわしい略語が続出するために, 免疫の話が敬遠される大きな理由になつているように思われる。今回は, これらの物質のうちからリンフォカインをとりあげる。このような微量活性物質は, その機能(活性)が分つているだけで, 物質的性状は分らないものが大部分であり, 統一的に分りやすく解説するなどということは望むべくもないが, 本稿では, その存在が確実にみとめられ, 解析がすすんでいるものを重点的に解説した。