- 著者
-
川島 正典
野々村 文就
- 出版者
- JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.4, pp.343-346, 2012
今回の取り組みは,当社が得意とする微塗工紙のなかでも最軽量に位置づけされる,坪量が45g/m<SUP>2</SUP>以下の超軽量微塗工紙の分野で,北米市場へ参入する検討を進めてきた。<BR>販売先は品質の要求基準が最も厳しいとされる米国大手出版社を念頭に置き,そこでの販売実績が,他の出版社や印刷社へのアピールになることを想定した。<BR>検討の過程で,白紙紙質では国内向けと比べて非常に不透明度が高く,逆に白色度が低い用紙が好まれる点,また印刷面では品質よりも印刷作業性を最重要視する点が,この市場における特徴的なポイントと考えられた。またこれまで指標として想定していなかった白紙面感に関しても,品質の基準があることがわかり,基準レベルの達成に向けて取り組んだ。<BR>市場調査の結果から,一般的な超軽量微塗工紙の原紙には機械パルプを高配合し,塗工層に高アスペクト比顔料をベースに高価なプラスチックピグメントや二酸化チタンが配合されていることがわかったが,当社では各種検討の結果,古紙高配合,ショートドゥエル方式,高価顔料の無配合,HSNC(ホットソフトニップカレンダー),日本式のカスタムメードなアプローチ等により,製品の製造処方を確立し,2007年より米国大手出版社への販売を開始した(しかし,現在は諸事情により販売休止中)。本報告では,これまでの取り組みについて概要を報告する。