- 著者
-
若林 靖史
- 出版者
- JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.3, pp.254-260, 2014
我が国が宇宙開発に取り組んでから半世紀が過ぎようとしている。生活の利便性を向上させたり,地球環境を把握する人工衛星のミッション,生命の起源・宇宙の起源など大きな知識の獲得を目指す科学探査のミッション,国際プロジェクトの一端を担う有人宇宙ミッションなど幅広い宇宙活動が展開されている。<BR>人工衛星の分野では,精度1m以下の位置決めや,大規模災害の状況把握や地球環境変動の観測の有用性も確立されてきた。科学探査の分野では,"はやぶさ"のチャレンジが国民の共感と世界の注目を集めた。先進各国が協力して作り上げた国際宇宙ステーション(ISS)は史上初の人類的プロジェクトで,我が国は日本モジュールの開発や物資補給機"こうのとり"の開発・運用,宇宙飛行士の活躍などで国際的な信頼を得ている。<BR>本稿では,これまでの技術開発がどんなステップで進められてきたかを概観した。<BR>現在の技術開発は,ロケットのシンプル化・ローコスト化,人工衛星の小型高機能化を目指して進められ,次世代への飛躍を準備している段階にみえる。世界では,中国やインドなどが嘗ての米ソのような国威発揚のための有人宇宙開発を展開し,欧米では宇宙港が建設され『黒い宇宙の深淵に輝く星座と足元に浮かぶ青い地球を実体験できる宇宙観光飛行』が開始されようとしている。