著者
齋藤 未歩 後藤 章 水谷 正一 Khem Sothea
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.65-73, 2010

本研究ではカンボジアメコンデルタを対象にタムノップ(<i>Tum Nub</i>)と呼ばれる土堤の活用による米二期作地拡大の可能性について検討を行った.洪水氾濫原の二期作においては,非冠水期間内の作期の確保と灌漑水源の確保がポイントとなり,この両面でタムノップの活用が有効であると考えられる。現地調査の結果,少数ではあるが早期雨季稲作を導入することで二期作を実現している農村があることがわかった.聞き取り調査を実施した農村から対象地区を選定し,早期雨季稲作を実現するためのタムノップの効果を推定した結果,洪水をせき止めて貯水池を創出し,貯水した水を消費したあとに貯水池内部での一作を可能とするタムノップと洪水氾濫の開始を遅延する機能を持つタムノップを組み合わせることで,対象地区では現状より24~30%の米の増産が見込めることがわかった.

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