- 著者
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川井 利克
- 出版者
- JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.1, pp.31-36, 2012
昨今の電力供給事情の悪化により,日本の産業界は省エネルギーへの取組みを強化せざるを得ない環境にあり,省エネルギーの進んだ製紙業界においても,更なる取り組みが必要となっている。このような状況の中,製紙工程の中でも,とりわけ大きな動力を消費する叩解工程は,これまでも日々改善を積み重ねられてきたが,今また注目しなければならない工程となった。<BR>また古来より紙製品の品質を左右する重要な工程である叩解技術は,製紙原料,抄紙技術とともに変遷してきたが,主原料であるバージンパルプや古紙原料の短繊維化が進行している今日においては,叩解処理技術は新たなる転換期を迎えていると考える。<BR>本稿では,この様な背景に合致した低動力で製品品質のアップグレードを可能とする弊社の最新型リファイナー用刃物である"Finebar"に焦点を当てる。<BR>この"Finebar"は,刃幅,溝幅を究極まで狭小化すること可能な刃物であり,その特徴を生かして得られる様々な優れた叩解性能を紹介するとともに,"Finebar"の技術を更に展開した新しい叩解技術への弊社の取り組みを紹介,報告するものである。<BR>紙面の関係上,導入メリット,ミニセグメント等,一部の内容の報告に留まったが,Finebarは,国の内外を問わずL,N混合叩解や家庭紙用叩解などあらゆる叩解工程で,極めて高い叩解性能が実証されており,叩解工程の省コストに貢献できる優れた技術であるといえる。