著者
黒岩 宙司
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.83-92, 2006

グローバリゼーションにともない国際保健医療の分野でもパートナーシップの重要性が言われている。1992年から2001年まで行われたラオスにおける「公衆衛生プロジェクト」と「小児感染症予防プロジェクト」は国際機関とのパートナーシップのもとに成功した。最大の成功要因はWHO総会で世界プログラムが決議され政治的なコミットメントが得られたことで、そこから共通の目的、共有された単一の政策的枠組み、パートナーシップが生まれ、資金的な裏づけが可能になった。しかしながら次々と国際機関から発信される保健政策には途上国の現場での検証が乏しい。現場で起こる問題点を科学的に分析することが重要で、援助と各省庁の利権を断ち切ることが求められる。外交の一環としてパートナーシップがあることを認識した上で、日本はアジアの一員として環境と文化とニーズを尊重し、国際社会と成熟したパートナーシップを構築する必要がある。そのために国際機関へのモニタリング・評価は重要である。

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