著者
庄司 香
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.93-103, 2012

近年,世界で急速に予備選挙の実施事例が増え,それに伴い予備選挙研究も活性化してきているが,予備選挙の定義には混乱がみられ,比較分析のための枠組の精緻化もまだ進んでいない。本稿では,まず,予備選挙の類型とこれまでの研究の論点を,民主化という尺度を軸に整理し,予備選挙導入と政党の強さの関係について,オーストラリアを題材に考える。さらに,「参加」という尺度から逸脱していく台湾の事例や,政党候補者指名という行為そのものの否定へと行き着いたカリフォルニアの事例を通じて,予備選挙がもつ指名制度の「開放」というインペラティヴについて考察する。最後に,ナイジェリアとアルゼンチンの事例をもとに,それぞれ,政党候補者指名制度の法制化や予備選挙実施の全党義務化が示唆する,予備選挙研究の新しい視角を提示する。

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