著者
笹野 遼平 奥村 学
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.687-703, 2017

<p>日本語二重目的語構文の基本語順に関しては多くの研究が行われてきた.しかし,それらの研究の多くは,人手による用例の分析や,脳活動や読み時間の計測を必要としているため,分析対象とした用例については信頼度の高い分析を行うことができるものの,多くの仮説の網羅的な検証には不向きであった.一方,各語順の出現傾向は,大量のコーパスから大規模に収集することが可能である.そこで本論文では,二重目的語構文の基本語順はコーパス中の語順の出現割合と強く関係するという仮説に基づき,大規模コーパスを用いた日本語二重目的語構文の基本語順に関する分析を行う.100 億文を超える大規模コーパスから収集した用例に基づく分析の結果,動詞により基本語順は異なる,省略されにくい格は動詞の近くに出現する傾向がある,Pass タイプと Show タイプといった動詞のタイプは基本語順と関係しない,ニ格名詞が着点を表す場合は有生性を持つ名詞の方が「にを」語順をとりやすい,対象の動詞と高頻度に共起するヲ格名詞およびニ格名詞は動詞の近くに出現しやすい等の結論が示唆された.</p>

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