著者
田村 隆
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.385-391, 2017

<p>ペンギンは南極に住み,シロクマは北極で暮らしている.アフリカのサバンナにはライオンが君臨し,アジアの密林にはトラが潜む.動植物の種の系統は地理的分布と密接にリンクしており,数十億年の地球史を経たものである.では,目には見えない微生物について種の系統は地理的分布とリンクするだろうか.オランダの著名な植物・微生物学者Baas Beckingの定理<sup>(1)</sup>としてEverything is Everywhere, but the Environment Selects. という有名な警句がある.その定理は,微生物は地球上のあらゆる場所に普遍的に存在しているが,環境に適応した種がそのなかから優占的に増殖するという意味である.この教義によれば,微生物はコスモポリタンであり,一見,地理的な分布と見えるものも単に優占種を選択した環境の違いが反映されたものだということになる.このロジックから「培養して分離した微生物の地理的由来を議論しても意味はない」ということになり,さらに極論として「微生物なんて,どこで採取しても同じ」とまで言われるゆえんである.</p>

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こんな論文どうですか? 地球と分子のレベルで考える[NiFeSe]ヒドロゲナーゼの分子進化:タンパク質の分子進化をスパコンで再現する(田村 隆),2017 https://t.co/bxHu4C6zhm

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