著者
梶 弘和
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.S142, 2018

<p> 超高齢化社会を迎えた日本においてQuality Of Life(QOL)を維持するのに視覚情報は非常に貴重であるが、高齢者になるほど視覚障害の頻度が増加する。この視覚障害の原因、すなわち失明疾患の上位はすべて網膜疾患で占められ、高齢者に多い。網膜疾患の治療を困難にしているのは薬物が網膜に到達しにくい点が挙げられ、網膜に効率的かつ的確に薬物を投与できる新しいドラッグデリバリーシステムDDSの開発が喫緊の課題となっている。 我々は、DDSデバイスの形状を、薬物非透過性のリザーバーと徐放膜から成るカプセル型にすることで、一方向性の持続的な薬物徐放を可能にした。このデバイスを強膜上に留置すると、周囲血管やリンパ組織への薬物の流出が抑制でき、眼外から網膜に薬物が移行することが示された。これにより、侵襲的な眼内操作を必要としない経強膜DDSを提案した。ウノプロストン(網膜色素変性抑制剤)を搭載したカプセル型デバイスに関しては、デバイス規格の最適化を行い、GLP安全性試験もほぼ終了しており、早期の治験開始が期待される。他にも最近開発中のインジェクタブル薬物徐放シートや低侵襲細胞デリバリーシステムについても紹介する。</p>

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こんな論文どうですか? 後眼部疾患治療を目指した薬物徐放デバイスの開発(梶 弘和),2018 https://t.co/0Xfq27Q4zx <p> 超高齢化社会を迎えた日本においてQuality Of Life(QOL)を維持するのに視覚情報は非…

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