- 著者
-
杉林 堅次
- 出版者
- 日本薬剤学会
- 雑誌
- 薬剤学 (ISSN:03727629)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.2, pp.89-95, 2007
皮膚局所に適用する医薬品製剤には, 皮膚組織やその周辺部位での薬効(局所作用)を期待するものだけでなく, いわゆる全身作用を期待する経皮吸収型製剤(Transdermal Drug Delivery Systems, TDS)があり, さらに, 最近では機能性を有する化粧品も市場を賑わすようになってきた. したがって, 現在では, 治療薬だけでなく化粧品有効成分の皮膚透過性や経皮吸収性を正しく評価する方法論の確立が以前にも増して必要とされるようになった. また一方で, 効果が高くなれば皮膚局所での刺激性などの副作用についても正しく予測することが重要となり, 加えて, 主薬およびその濃度, さらには基剤の選択基準の確立が必要となってきた. 現在, 薬物の皮膚透過量や透過速度はヒト皮膚を用いて主にin vitro実験法で評価されている. しかし, 特に本邦では新鮮なヒト皮膚が必要な量を入手できるとは限らない. そこで, 動物皮膚や人工膜が使われることとなるが, 動物皮膚使用に当たっては動物愛護の問題を回避することができないし, また, 人工膜の使用では代謝酵素やトランスポーターが関与する皮膚透過を表現することができない.