- 著者
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三浦 清之
上原 泰樹
小林 陽
- 出版者
- 農業技術研究機構中央農業総合研究センター
- 雑誌
- 中央農業総合研究センター研究報告 (ISSN:18816738)
- 巻号頁・発行日
- no.9, pp.1-16[含 英語文要旨], 2007-01
- 被引用文献数
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「あゆのひかり」は北陸農業試験場(現中央農業総合センター・北陸研究センター)で1989年に新しい機能を有する糖質米品種の育成を目的として,糖質系統「EM5」(「金南風」の糖質突然変異系統: 九州大学育成)を母とし,早生の日本型多収系統「奥羽331号」(後の「ふくひびき」)を父とする人工交配を行って育成された品種である。1994年から「北陸169号」の系統名で,関係各府県における奨励品種決定調査試験およびその他の試験に供試してきたものであり,2005年9月15日に新品種として「水稲農林405号」に命名登録された。「あゆのひかり」は,北陸地域を主体とした寒冷地南部に適する,よりGABAの蓄積量を高めた発芽玄米用品種である。「あゆのひかり」の特性の概要は以下のとおりである。1. 出穂期は「コシヒカリ」より3日程度遅く,育成地では"中生の中",成熟期は出穂後30日を目途とするため"早生の晩"である。2. 稈長は「コシヒカリ」より20cm程短く,"短"に,穂長は「コシヒカリ」並の"中"に,穂数は「コシヒカリ」より少ない"やや少",草型は"偏穂重型"で,脱粒性は"難"である。3. 玄米の厚さは平均で1.47mmと極めて薄く,千粒重は14~16gと極軽く,収量は,「コシヒカリ」,「キヌヒカリ」より少なく,これらの品種の約60%である。4. 発芽時の乾物重あたりのGABAの含有量は,「コシヒカリ」の3倍前後であり,水溶性多糖(植物グリコーゲン)を,乾物重あたり約30%含有する。5. いもち病真性抵抗性遺伝子はPiaとPibを併せ持つと推定され,葉いもち圃場抵抗性は"やや強",穂いもち圃場抵抗性は不明である。穂発芽性は"極易",障害型耐冷性は"弱"である。6. 出穂後29日目から,籾の発芽率が上昇し,一方,籾重は,出穂後30日前後まで増加し,その後,一定となるので,出穂後30日を目途に収穫することで,穂発芽による品質低下を防ぐことができる。