著者
荒牧 英治 増川 佐知子 森田 瑞樹
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 = Journal of natural language processing (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.419-435, 2012-12-14
被引用文献数
1

近年,ウェブの情報を用いて,感染症などの疾病状態を監視するシステムに注目が集まっている.本研究では,ソーシャルメディアを用いたインフルエンザ・サーベイランスに注目する. これまでの多くのシステムは,単純な単語の頻度情報をもとに患者の状態を調査するというものであった.しかし,この方法では,実際に疾患にかかっていない場合の発言を収集してしまう恐れがある.また,そもそも,医療者でない個人の自発的な発言の集計が,必ずしもインフルエンザの流行と一致するとは限らない.本研究では,前者の問題に対応するため, 発言者が実際にインフルエンザにかかっているもののみを抽出し集計を行う.後者の問題に対して,発言と流行の時間的なずれを吸収するための感染症モデルを提案する.実験においては,Twitter の発言を材料にしたインフルエンザ流行の推定値は,感染症情報センターの患者数と相関係数 0.910 という高い相関を示し,その有効性を示した.本研究により,ソーシャルメディア上の情報をそのまま用いるのではなく,文章分類や疾患モデルと組み合わせて用いることで,さらに精度を向上できることが示された.

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