出版者
福島県林業試験場
雑誌
福島県林業試験場研究報告 = Bulletin of the Fukushima Prefectural Forest Experiment Station (ISSN:09101179)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-13, 2000-12

葉枯らし乾燥の効率化を図るため、スギ中目材の間伐木を対象として放置期間の検討を行うとともに、樹幹の切削処理による乾燥促進を試みた。 葉枯らし期間中における樹幹水分の変動を調査した結果、梅雨明け後約3カ月経過した時点からは大幅な含水率の低下がなくなる傾向にあったが、適用した試験地によっては辺材の樹高方向に水分傾斜が発生したため、このような乾燥特性と地況条件との関係解明が課題となった。しかし、約6ヵ月間葉枯らしをすることで、樹幹全体に対してほぼ一様な乾燥効果が得られた。また、心材含水率の低減を目的とし、葉枯らし木の樹幹に心材木口を露出させた穴あけ切削処理を施して乾燥試験を行ったが、辺材の乾燥促進と樹幹含水率の均一化に効果があったものの、心材の含水率はほとんど低下しなかった。 これらの林内乾燥がその後の乾燥コストに与える影響を調べるため、3ヵ月間葉枯らしを行った原木を正角材に製材し、人工乾燥試験に供した。 通常の葉枯らしを行った原木には黒心材が混入しており、また製材時に乾燥の進行した辺材の多くが除去されたため、製材品の初期含水率が無処理原木による対照材と差がなく、人工乾燥の前処理効果が認められなかった。穴あけ葉枯らしを行った材は良好な乾燥性を示したが、供試材の心材率など他因子の影響が考えられたため、人工乾燥コストの低減効果については不明であった。

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