- 著者
-
青山 千春
- 出版者
- 日本地球惑星科学連合
- 雑誌
- 日本地球惑星科学連合2014年大会
- 巻号頁・発行日
- 2014-04-07
日本海側の自治体1府9県は、「海洋エネルギー資源開発促進日本海連合(以下、日本海連合)」を2012年9月に設立し、政府のメタンハイドレート資源開発を後押しする事で、地域の活性化と雇用創出をめざしている。日本海連合の中の新潟県と兵庫県は県独自のメタンハイドレート調査を実施し、政府へその成果を示すことで、政府の開発促進をアピールしている。一方で太平洋側の和歌山県は、政府が開発している海域より、陸側に近い海域に表層型メタンハイドレートが存在する事を示すことにより、開発海域の再検討を政府へアピールしたい考えである。独立総合研究所は、2013年度に新潟県、兵庫県と和歌山県とそれぞれ共同研究を実施したので、その報告を行う。新潟県との共同調査は、2013年6月に、メタンプルームの観測を実施した。新潟県が保有する「越路丸」(187トン)で、佐渡東方の最上舟状海盆東斜面(水深200mから600m)において、カラー魚群探知機(FURUNO FCV-10)を利用して実施した。その結果、複数のプルームが観測された。兵庫県との共同調査は、2013年9月に、計量魚群探知機によるメタンプルームの観測、サブボトムプロファイラーによる海底下の観測、マルチビームによる海底地形の観測を実施した。「第七開洋丸」(499トン)で、隠岐堆東方海域で実施した。さらにピストンコアリングを行い、5本のサンプルを採取し、メタンハイドレートの痕跡を複数確認した。和歌山県との共同調査は、2013年11月と2014年1月に観測を実施した。和歌山県が保有する漁業調査船「きのくに」(99トン)で、潮岬南方12海里の潮岬海底谷(水深1,700mから2,200m)において、計量魚群探知機(SIMRAD ES60)を利用して実施した。その結果、複数のプルームが観測された。太平洋側でのプルームの報告は、いままでほとんど無いので、今後も観測を続けたい。