著者
高橋 一浩
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
第53回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2017-04-28

背景:不全型川崎病は、川崎病の過剰診断や川崎病と同等の治療をされることが多い。不全型川崎病早期に、アスピリンと漢方である越婢加朮湯の併用療法を行うことにより、免疫グロブリン大量療法を施行せずに、川崎病の進展が予防でき、冠動脈病変を認めなかった乳児症例を経験した。症例1:10ケ月男児。発熱37.7℃、機嫌不良で発症、1両側球結膜充血、2口唇発赤を認め、翌日、3手足の硬性浮腫、指趾先端の紅斑4体幹の不定形発疹を認めた。BCG接種部位の限局性発赤を認め、CRP 0.7、D-dimer(DD)の軽度上昇を認めた。不全型川崎病の疑いで入院。冠動脈異常はなく。アスピリンと越婢加朮湯を開始。第3病日に解熱、下肢末端の発赤は軽減。CRP,DDも正常化した。好酸球は増加。症例2:1歳女児。38.5度の発熱、BCG接種部位の限局性発赤を認め2日目に紹介、1手足の硬性浮腫、指趾先端の紅斑を認めた。3日目CRP2.75、DD上昇を認めた。気道症状は認めなかったが、胸部写真上、軽度浸潤陰影を認めた。全身状態は比較的良好であったが不全型川崎病の疑いがあり入院。心エコーでは冠動脈拡大はなく。アスピリンと越婢加朮湯を開始した。翌日(第4病日)には解熱し、四肢末端の発赤は軽減。CRP,DDも正常化した。好酸球は増加していた。考察:越婢加朮湯の漢方的適応病態は、急激に発症する全身性浮腫、尿量低下で、浮腫は皮膚に光沢がある。発熱などの表証を伴うことが多い。保険適応病名としては、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などとされ、抗炎症作用、浮腫軽減作用を持つ。結語:不全型川崎病に対する早期の越婢加朮湯療法は、病勢を早期に抑える可能性があるかもしれない。

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不全型川崎病は、川崎病の過剰診断や川崎病と同等の治療をされることが多い。不全型川崎病早期に、アスピリンと漢方である越婢加朮湯の併用療法を行うことにより、免疫グロブリン大量療法を施行せずに、川崎病の進展が予防でき、冠動脈病変を認めなかった乳児症例を経験した https://t.co/Moum8pyfiu

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