著者
宗方 比佐子
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
no.3, pp.49-55, 2000

本研究は,職業意識の日中比較研究の一環として,日本と中国で使用可能な職業興味尺度の開発を目指して行われた予備調査の結果を分析したものである。日本では,これまでに職業興味尺度が多数開発されてきたが,その多くは米国で提案された職業興味の構造モデルに依拠するものであり,適用に際してはいくつかの問題点が指摘されている(宗方,1999)。今回用いた職業興味測度は,日本および中国の産業構造や労働市場を考慮して収集された独自の職業興味項目から成るものである。この予備的に作成された職業興味測度を中国と日本の大学生と高校生に実施した結果に基づき,両国の職業興味構造の違いを比較検討したところ,職業興味の構造は両国で共通部分はあるものの社会体制の違いを反映した部分においては明確な違いが現れた。これらをもとに,両国に適応可能な職業興味尺度を開発するために克服しなければならない今後の課題を明らにした。
著者
宗方 比佐子
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.77-88, 2000-03-31

職業興味の構造に関する研究は,長い間Holland(1966)のRIASECモデルを中核としで展開されてきたが,最近になって2次元モデル,8角形モデル,球形モデルなど,いくつかの新しい理論展開がみられた。本稿では,職業興味構造に関する理論モデルの変遷を概観し,筆者らがこれまでに実施した職業興味調査の結果を,RIASECモデル,2次元モデル,8角形モデルのそれぞれの理論枠組のもとで再分析した。各モデルの適用可能性を検討し,日本の研究に適用する際の問題点を明らかにした。加えて,日本における職業興味研究の今後の課題を提示した。